透明人間の色




「は?」


「不味いだけでも、満足できないでしょ」


「なにそれ?不味いから満足できないんだけど」

から、を強調してそう言った霧蒼。

私はからかうように、フライドポテトを食べながら言った。


「不味いから美味しいものがあるの。どっちかだけだったら、満足できない」


その言葉に目を見開いた霧蒼。次いで、また不機嫌そうな顔をする。


「…ふーん」

何を考えているのだろう?

霧蒼は私とこうして一緒にいる意味を、何か見いだしているのだろうか?

霧蒼が私と一緒にいる理由はどこにもないと言うのなら、私は結局正義とも思っていない晶人さんを頼ってしまう。

一番大事な絶対的正義だけを手放して。
偽悪的な正義は手に入らなくて。



私に残るのは美味しいだけの世界だ。




そんなの、満足できるはずがない。
そしてそんな私を晶人さんが許してくれるとも思ってない。



でも、私は一人は嫌。



とんだ我儘だ。
ただの偽善者のクセに。