しばらくそうしていると、晶人さんが不意に私をひょいっと抱っこした。
私はその晶人さんの首に手を回してしっかり掴まる。晶人さんは満足そうに微笑んだから、私もつられて笑うと、晶人さんはそのまま一緒に家に入った。
晶人さんはただの塾の先生だけど、不思議なくらい力持ちだ。
というか、全体的にとても不思議な人だ。
時々晶人さんが魔法使いなんじゃないかと思うことがある。
私だけの魔法使いなんじゃないかって、そう思う。
もしそうなら、ここはその魔法使い家だ。
だから、晶人さんが帰ってくるなり、ほら、温もりが戻ってくる。
体感温度だけが高くて、心が冷たくなる嫌な部屋が、魔法で急に明るくなって、ただうるさかった時計が、仕事だけをし始める。
それだけじゃない。あっちもこっちも、晶人さんがいるだけでこの家全体が輝き始める。
それが魔法じゃないと言うのなら、やはりこの世界に魔法使いはいない。そういうことなんだろう。


