透明人間の色




だんだんと外が嫌になるほど暑くなってきた。何もしていないのに、汗がバッ出てくる。


今、何時だろう?


知りたいけど、知りたくなかった。

とりあえず、中に一旦入って、水筒に冷たい水を入れてくるのが良いかもしれない。

私は思いきって立ち上がる。


その時だ。車の音がした。


心臓がドクンと跳ねる。
車の音に今日何度飛び上がったか分からないけど、これを聞いたとき初めて晶人さんが帰ってきたと思った。

真っ直ぐその車に走っていけば急ブレーキの音がして、晶人さんが運転席でビックリした顔をしていて、私は心底ホッとしたんだと思う。


温かいものが頬を伝った。

晶人さんが車から急いで出てきて、私を抱きしめてくれる。

片方の手にはアップルパイで有名な店の袋を持っていて、改めて私にはこの人しかいないと、そう思った。


「晶人さんっ」


「うん」

「あのね」

「うん」



「寂しかった」


「うん」



「ずっと、一緒にいて」


私には晶人さんしかいないから。

 

汚くてもいい。何でもいいから、一人にはなりたくない。

こんなワガママ受け入れてくれるのは、晶人さんだけなの。



「もちろん。美香ちゃんが望むならずっと一緒にいるよ」



優しく私の涙を拭いてそう約束してくれた晶人さんの腕の中は、すごく居心地が良かった。