透明人間の色




でも、彼女とあの繁華街であったあの日から、僕は彼女という人にこれまで以上に触れるようになったというのに、逆に彼女が分からなくなった。


彼女の言動はいつも理解に苦しむ。


紫が親戚だか恋人だかで、笹本達也を自分の絶対的正義なんだと言いながら、好きだと言いながら、なぜか振ってしまった。

そして、今日は僕が東城美香を知ることになったきっかけでもある小野楓に、友達をやめると言ったらしい。

全くもって、理解不能だ。


僕の見た正義の色はそんな色だったか?

違う。


でも、彼女を、東城美香を今まで以上に信じていたいと願ってる僕がいる。


この感情の名前を僕は知らない。


さっき、守木が言ったことを思い出した。



“自分より正しいと思える相手を見つけることを怖がらないで下さい”


いきなり何を言い出すかと思ったら、そんなくだらないことで、僕は守木を鼻で笑った。



でも、あくまで守木は真剣な目で僕を見つめたまま、


“怖くないならいいんです。価値観が変わることを、世界が変わることを恐れないで”


と、そう言った。