数ヶ月前から始まった異変について思いを巡らせていると返事がおざなりになっていたようだ。


「ほんとに愛してる?うち愛されてる?」


ねぇねぇ、と向かい側から手が伸びて指を絡めた。


「もちろん、お前は可愛いからなぁ」


その手をやんわり外してペットボトルを握らせる。


人懐こいのはいい事だけど、ここまで警戒心がないのは心配になる。


こうやってふわふわした態度で誰かれかまわず接していたらそりゃ勘違いもするか。


「うち水欲しいなんて言ってない」


「飲み過ぎ、もうやめとけ」



「…うちのこと愛してる?」


ほら、飽きもせずにまた始まった。



「愛してるよ」


嘘偽りない言葉を、冗談でくるんでいつものように差し出す。


「じゃあ結婚だ」


「そうだな、明日にも挙式だ」


「おっくんに友人代表でスピーチしてもらわなきゃ」


「理(おさむ)号泣するんじゃねーの」


「おっくんは私達のこと大好きだから」


そういえばおっくんね、と今日の理の話が始まったからそっとため息をついた。