「雫、色々考えてるのは分かる。でも、」


魁音が両手で私の肩をつかむ。


真っ直ぐ見つめられて私は固まってしまう。


「俺が聞きたいのは、雫があそこで歌いたいか、歌いたくないか。それだけだよ。」


歌いたいか、歌いたくないか。


そんなの、


決まってるじゃん。


今日、何度も思ったんだから。


あそこに立ちたいって。


「歌いたい!!・・・・・・あそこで歌いたい!!」


声を張り上げて魁音に言う。


私の答えに魁音は笑った。


「うん。俺もあそこに立ちたい。・・・・・俺と一緒にあそこに立とうよ。」


「うん。立とう。」


瞬間、夜空に綺麗な花火。


私達の決意を後押しするかのように綺麗に光る。


「「綺麗ーーーーーー!!」」


私と魁音の声が重なる。


私はただ夜空に光る花火を見ていた。


私もあんなふうに光りたい。


誰かのために歌いたいわけじゃない。


そうじゃない。


光りたい、そう思ったから。


魁音とあのステージに立ちたいって思ったから。


ただ、それだけ。