「雫!そろそろ花火見えそうなところに行こっか。」


「うん。行く!!」


人が少ないところを探して歩いていると、ちょっと高くなっている場所を見つけた。


「ここでいっか。」


「うん。そうだね。」


私は魁音の隣に座って空を見る。


「・・・・・・ねぇ。お昼に言ってた後で言うって言ったことって何?」


魁音がコーラを飲みながら私に聞く。


「あぁ。・・・・・・あのね、今日のライブ見て私羨ましくなったの。」


「羨ましい?」


「うん。だって、あんな大きなステージで思う存分歌えるんだよ!!・・・・・キラキラ輝いてた。それで私ね、・・・・・あそこに立ちたくなった。叶いもしない夢だけど、私歌いたい。あんなふうに。」


そう、叶いもしない夢。


でも、口に出して見たかった。


そしたら何か変わるかなって。


なんも変わらないのに。


現実見なきゃいけないのに。


「立てるよ。雫。雫はあそこに立てる。」