俺はもうその時、諦めていた。


テレビの向こうでギターを弾くことも、生きることも、病気と戦うことも。


全部がどうでも良くなった。


そして俺は母親と話して学校を辞めた。


その代わり今を精一杯生きるって約束した。


「あの時、精一杯生きると約束したのは魁音君だろ?」


担当医に言われる。


確かにそうだけど、良く考えたら何を目的に生きるわけ?


そう思ったらまたどうでもいいって思った。


それでも学校に行こうとは思わなかった。


友達と会ったら、自分が惨めに情けなく感じるから。


夢を追いかけてる奴の隣に、生きることを諦めている自分が立っているのを想像したら悲しくなった。


友達とは連絡は取るけど、病気の事は言っていない。


こんな俺とまだ仲良くしてくれる奴らは本当に優しいなって思った。


診察した後、俺は何も言わずに診察室を出た。


俺の心はぽかっと穴が空いている。