「行ってくるね!!魁音と思いっきり音出してくる!!」


そう言ってステージに向かうんだ。


どんなに小さいステージでも。


3人は笑って、


「「「行ってらっしゃい!!」」」


と言ってくれた。


私は思いっきり笑ってステージ袖に向かって走る。


「お待たせしました!!」


「じゃあ、好きなタイミングでステージに出てね!!」


「はい!!」


私は深呼吸を3回。


・・・・・・・・・よし。


私は立て掛けていた黒と赤のエレキを手に取る。


魁音のギター。


私は魁音のギターで今までやって来た。


エレキを弾くし、芸名はKaiiだから男だって思われることもあるんだけどね。


それでも私は魁音のギターがいいの。


そして、ステージに足を踏み入れた・・・・





ワァーーーーーーーーッ!!


会場から聞こえる歓声。


みんなの目が私に向く。


そして、ステージから真っ直ぐ前を見れば、私がずっと夢にまで見ていた景色。


2年前、私はあっち側にいた。


魁音と来たロックフェス。


私の夢を見つけた場所に私は今、立っている。


魁音のギターを持って、立ってるんだ。


私はマイクの前に立って、ギターを掻き鳴らす。