3人は俺の周りに来て必死に話しかける。


俺も答えたい。


でも、声が出ない。


掠れて、息が短く途切れる音しかしない。


「母さん!!魁音に何か言ってやれよ!!絶対の後悔するぞ!!・・・・いい加減、自分の気持ち息子に言えよ!!」


智兄が母さんに怒鳴る。


智兄怒鳴ってばっかりじゃん。


母さんは俺を見たまま、動かない。


なんだよ。


やっぱり、最後まで何も言わないのかよ。


俺は母さんから目線を逸らした。


すると、俺の隣に来て手を握った。


「・・・・・・・・・・・・魁音。ごめんな、さい。・・・・・・・・・ずっとずっと怖かった。私のせいで、・・・・・魁音が死んじゃうって。・・・・・・・・私がこんなふうに産んじゃったからっ。でも、魁音のことが・・・・・・大好きよ。当たり前じゃない、息子が嫌いな母親がどこにいるのよ!!魁音、・・・・・・・・・今までごめんね。本当に、ごめんなさい。」


母さんが泣きながら俺の手を握る。


俺は母さんの方を向いて、手を指でつつく。


すると母さんは顔を上げて俺を見た。


声は出ないけど、口パクで、


「ありがとう。・・・・・産んでくれて。」


母さんにはこの一言で全部伝わる。


母さんは大きな涙を流した。


そしてうんうんと頷く。


智兄も泣いてる。


やっと、・・・・・・・・・俺の家族が一つになった気がする。


良かった。