羽をくれた君へ。

「あっ、もしもし。魁音?どうした?」


「あっ、今・・・丈夫?」


「お前、声。・・・・・・ちょっと待って。今から行くから。」


そう言って切れた電話。


あーあ、結局来ちゃうのかよ。


近くにいるとそういう肝心なこと言えないんだよなー。


しばらくすると、病室の扉が開いた。


そこには焦った顔の智兄。


「魁音。ごめん。遅くなって。」


「ううん。俺こそ、・・に、ごめん。」


「お前、声でないの?」


「なんか、朝から・・・んな感じ。・・・っと、途中で途切れ・・る。」



「そっか。・・・・・・それで、この声で言おうとしてた事って?」


本当は智兄だってわかってると思う。


でもこれは俺から言わないといけない。


「俺、・・・・・・・後少しな気がする。」


智兄の顔が一瞬で暗くなった。


でも俺は続ける。


「今週が、・・・ば、山場だって、言われた。俺も、・・・そ、・・そうだと思う。」