マイクにスイッチを入れて魁音が話す。


「今日は雫にだけ俺が音を出したいと思います。聞いてくれる?」



私はびっくりしてただ頷く。



「じゃあ、聞いてください。」


そう言ってエレキを弾く魁音。



いつもの力強さはなくて、優しいメロディー。


魁音はマイクの前に立って、ギターと一緒に歌い出した。


♬こんなどうしようもない俺を

君が見つけてくれた

だから俺は君の瞳を変えたかった

君の声は空に響く

君の声は俺に響く

声とは裏腹な目が

微かな光を信じようともがいていた

あぁー、君は俺の光

君に伝えるメッセージ

本当は何より恥ずかしい

でも伝えたかった俺の気持ち

ありがとう

ありがとう

受けってってくれよ

俺の下手くそな言葉 ♬


短い歌詞に込められた魁音の気持ち。


私のことを思ってくれて書いてくれた。


弾いてくれたこと。


全部が嬉しくて涙が出た。