「あのー……

藤井さん、なんかウザいんですけど」





岡部君の言葉ではっと我に返った。

完全にピンクの世界に入っていたあたしは、慌てて姿勢を正す。

あたしの頭の中は、昨夜の優しい淳太君でいっぱいだった。

思い返すだけで身体が悲鳴を上げにやけてしまう。

そんなあたしとは違い、淳太君は朝から通常モードだ。

電話で英語のやり取りをして、手際よく資料を作っていく。




淳太君はあたしがいて、緊張しないのだろうか。

照れたりしないのだろうか。

昨夜は痛いほどの愛を感じたと思ったのに、一晩明けたらいつも通りだった。

二回目の夜は甘い幻想に終わった。