そんなことを考えながら昇降口へと向かうとまた視線。

……なんだろう。

すごく見られてる感覚はするのに、それが誰か分からない。


「七海おはよっ!」

「わっ、お、おはよ」

裕子に勢いよく肩を叩かれて、ちょっとビックリしてしまった。

裕子は私の些細な変化にすぐ気づくから、今日も私の顔色をすぐに読み取る。


「ん?なんかあった?」

昨日は気のせいだと思ったけど、今のは気のせいじゃなくて確実に誰かに見られていた。

心配させたくないからハチには聞こえないように裕子だけにコソッと耳打ち。


「……なんか視線を感じるんだよね」

「なにそれ?幽霊的な感じ?」

「うーん。たぶん違うと思う」

ゾワッとするようなものじゃないし、そもそも昨日も言ったとおり私には霊感なんてないし。


「もしかして八島くんのファンじゃない?またヘンなことに巻き込まれたりしないでよ」

裕子が隣で心配そうな顔をしていた。


……ファンか。ありえなくもない気がする。

だってハチの彼女になりたい人はたくさんいるだろうし、少なからず私に対して良く思ってない人もいると思う。

多少の嫌がらせなら我慢するけど、また大きなことになってハチを心配させたくないしなあ……。