道のまん中に、身一つで佇(たたず)む美少年。傘も持っていなければカッパも着ていない。


もしや、映画の撮影でも行われているの……?


キョロキョロとあたりをみまわしてみるも、カメラさんも、照明さんも、音声さんも……見当たらない。


今ここにいるのは、彼とわたしだけだ。


なに、してるのかな……。


ぼーっと見ている場合じゃない。このままじゃ、あの人、ずぶ濡れになってしまう。


慌てて駆け寄り、美しい横顔を見上げ、問いかける。


「あの……濡れてますよ?」


少年は空を見上げ、落ち着いた口調でこう答えた。


「ああ、うん。ほんとだね」


なっ、納得されてしまった!?


てか、え、いま気づいたの……?


「__入れてくれる?」


へっ?


「その傘に入れてくれたら、お礼に、僕の身体貸してあげる」