熟睡してしまったセイくんに毛布をかけて、一階に降りてきた。


「よっぽど疲れてたのねぇ」

「そうみたい」

「で。もう、キスしたの?」


お母さんのとんでもない発言に、危うく運んでいる食器を落としそうになる。


「するわけないでしょ!!」

「カッコイイ子じゃない~。ツバつけといたら?」

「……セイくんとは、そんなんじゃないから」

「そう? セイくんみたいにしっかりした子なら、美琴のこと安心して任せられるのになぁ」


たとえわたしがセイくんを好きになったとしても、セイくんがわたしを好きになるとは思えない……。


お父さんから遅くなると連絡が入り、お母さんとご飯を食べているとセイくんが二階から降りてきた。


「ごめん、美琴。寝ちゃってた」


寝起きは寝起きで色っぽい。だからそのオーラなに……?


「いいよ。セイくんも、一階に食べよ」

「ありがと」


食卓に、イケメンがいる。なんてシュールな光景。しかしお母さん、嬉しそうだなぁ……。


「ご馳走様でした」


手を合わせてそういうと、食器をさげるセイくん。


「あ、おいといて。それより、セイくん今夜泊まってったら?」


は!?


「そうしたいのは山々なんですけど、明日も朝はやいので」

「あら、そう?」

「それに、さすがに嫁入り前のお嬢さんのいるお宅に、僕みたいなのが泊まれませんよ」

「あらあら。お嫁にもらってくれてもいいのよ?」セイくんの背中をバシッと叩く。


お母さんの、バカっ……!!!