パリン
ある魔法を使っているとそれが急に割れるようにして消滅した。
「...!」
驚き急いで魔法を掛け直しながら移動した。
これでは気づかれてしまう
だが、既に遅かった。
移動先には水色の魔力でできた結束バンドがそこら中に張り巡らされていた。
「ぬわ〜!」
近くにならなければ気が付かないほど細くすぐ切れそうだが引っかかってしまえばそれは切れない。
顔を隠し動きやすい服装に着替えていたミーナは変な声を出してしまった。
「ぬわーって...
相変わらず変な声出すよね。」
扇は苦笑しながら結束バンドの近くまで顔を出した。
ミーナも あはは と苦笑い。
今は完全に拘束されている。
「知ってる気配が出て来たと思ったら逃げちゃうし...
で、どうしたの?私達を探してたんじゃないの?」
扇は不思議そうにミーナを見ていた。
その隣にはいつの間にかいた獄がミーナの拘束を解いてやった。
「ありがとうございます。ヒトヤさん
実は陛下がこの国にいるのですよ。」
ミーナは隠し事なしで話し始めた。
ミーナは次女であることを知っている2人は そりゃそうだろ と心の中で突っ込む。
「て、ことは今はミリヤンか?」
獄は壁に背を持たれ質問した。
それにミーナは頷く。
ミーナの萬屋での名前はミリヤン・クロッテ
アルテーナ諸国の首都があるアルテーナ島を拠点に萬屋を営み生活していた。
そして、ミイナの隠れ幼馴染でもある。
親達は知らないことで、よく城を抜けてミーナと行動をしていたのだ。
幼い頃から。
そんなミーナだけがここにいるのはおかしい。
「なるほどね。エイミに探せと言われたのか。」
エイミとミーナの関係を知っている扇はため息をついた。
ミーナは はい と頷きながらニコニコとしていた。
ミーナは扇よりも身長が小柄で若く見えるが30は超えている。
「それにしても久しいですね。
ヒトヤくんはよく見かけてたんだけどなぁ
リオウには中々会えないですし〜」
子供のような口調で楽しそうに言うミーナを見て 変わらないな と扇と獄はそう思った。
「それで?
私達を探してどうする気?」
扇は ふぁ と欠伸をしながらミーナに聞いた。
ミーナは言いにくそうにエイミに言われた頼まれごとを話した。
「それがですね...
陛下がお探しになっておりますよ。」
ミーナがそれだけを言い口を閉ざした。
これだけでも意味を理解した扇と獄は逆に警戒した。
「...今更ね......」
扇がため息をついて、無線機の電源を入れミーナたちから距離を取った。
「...何か企みがある...とも思えんなあの女は」
獄は建物に背中を預けて腕を組む。
ミーナはムッと獄を睨む。
「相変わらず、口が悪いですね。
陛下を女呼びとは...失礼にも程がありますよ!」
「仕方ない。これが俺だ...
そもそもこんな俺になったのもある意味王族のせいだ。」
フンッ とそっぽ向いた獄にミーナは言葉を返すことができずにいた。
「何喧嘩してるの、全く...
悪いけどミーナ、私達これから任務があるから行けないよ。
任務終了次第ならいいって長が」
扇の最後の言葉に獄は驚いた。
これは扇も同じだったらしく呆れていた。
「了解しました。
陛下のご予定はありませんのでいつでも来られると思いますよ!
それでは!」
ミーナは姿を暗ます魔法をかけて消えた。
「いいのか?俺達が国に関わっても...」
気配がないことを確認して扇に問う。
グリムズの掟の中には無闇に人と繋がりを持たないこと と言うのがある。
燐たちや今の扇たちはその掟を破っているように見えるが命令があれば別だ。
特にアーミャはカインの巫女としての役割を果たせなければならない。
しかし、今回は違う。
上には報告しているだろうが、エイミ...国の王に会うのはあまり宜しくない。
消えかけていた...いや、消そうとしていた繋がりが再び現れてしまう。
「そこは大丈夫。
今回は今までにない異常事態...
接触しても問題ないんだって...むしろ...」
扇は空を見ながら言った。
その目は遠くのここには写っていない景色を見ていた。
「関わりを持て...か」
扇が言う前に獄がため息混じりに呟いた。



