「はっ!」

先に動いたのは燐だった。
極夜を京子に向けて一振し、自分も動いた。

極夜から、ブーメラン状の灰色の光が現れ京子を襲う。
京子はそれを真正面から受け止め、一瞬にして消してしまった。

「だよね...」

分かっていた燐は灰色の光が消えた瞬間に京子の目の前にいた。

腰を低くし、白夜を構える。
京子は ふふ と笑みを見せながらも燐に凪を上から叩きつけるように振り下ろした。

「もう、昔見たく簡単にはやられませんよ?」

刃と刃がギリギリと音を鳴らせながら抑えていく。

「凪...静止せよ」
「白夜...照らし続け!」

それぞれの剣が自身の色を淡く光り始める。

凪は、相手の能力を無効にするために
白夜は、凪の静止に飲み込まれないためにも。

しかし、結果としてはどちらも負けず劣らずで爆発してしまった。

ズザザザサ と2人は爆風で飛ばされ何とか吹き飛ばされないよう踏ん張る。

夏希『すっすごい...どちらも相手から抗い膨張してしまったようです。』

何とも言えない光景に夏希も言葉が少なく、動揺が混じっていた。

「危ない...」

燐はホッとしてしまった。
これ以上膨張してしまえば会場全体が巻き込んでしまうからだ。

「時化よ、荒れ狂え!」

京子はそう言いながら時化を1振りする。
それは、まだ収まらない爆風を通過して燐に向かってきていた。

ボンッ

すると、通過した爆風がさらに巨大なものになり燐を襲ってくる。

「極夜...沈めよ」

燐は目を細め暴風の中心に向けて極夜を突き刺す。

「くっ...」

突き刺した部分だけ暴風が無くなり無風となる。
それは、そのまま京子に攻撃する形となった。

だが、京子は無傷である。
元々攻撃のために突いた訳では無いため殺傷性が無い。

そんなものは京子は造作もなく消すだろう。

「やりますわね...燐」
「そっちもね...京子」

2人はまたも笑顔を見せた。
本気の闘いである。もしこれが戦場であれば結界がなければ周りのものは巻き込まれて死んでしまうだろう。

「すごいな」

堺人はそんな2人をあっけらかんに見つめていた。

今のところ互角に見える2人の勝負は決着が着くのだろうか

そんなことを堺人は考えていた。

〜・〜・〜・〜

瑠璃『えー...そろそろ30分は経つでしょうか...

鈴鐘選手、千上院選手の試合は未だに進んでおります。

ポールウェポン部門の試合ですがこの試合が終わり次第始めらとこになりました。』

予想以上の打ち合いに観客席からの歓声は途切れてしまった。

打ち合いのスピードが上がり始めてからは皆動きについて行くのがやっとであり、応援が出来ない状態であった。

ポールウェポン部門は燐と相手との試合で終わるのだが当の本人がまだ試合中であるため当然出られない。

毎年何処かでおこることなのでこの大会の委員会側は承知済みで時間を調整している。

だが、これはいくらなんでも長すぎてある。

「はぁはぁ...流石...やっぱり強いよ京子は」

荒い息を整えながら京子を睨みつける燐に京子も息を整えながらニヤッと笑った。

「あなたに褒めていただけるのは光栄と言うものかしらね」

両者また睨み合いが始まった。
この長い試合の合間に観客は増えていた。

もちろん、試合を終えたカインたちも観客席で試合の様子を伺っていた。

「そろそろ決着付けようか...極夜」

燐がそう呟くと極夜が光り始めた。
京子は時化を前に凪を後ろに来るよう構える。

「極夜...不天楼(ふてんろう)」

燐は極夜を上段から振り下ろした。
すると、最初と同じような灰色の光がブーメラン状になって京子を襲う。

京子は最初と同じように消す。
だが、それはすり抜けてしまった。

「なっ...これは」

京子は はっ として辺りを見る。
さっきよりも薄暗くなっていた。

「極夜は沈んだままの太陽...その意味が分かる?」

燐の声がするが何処にいるのかハッキリとは見えなくなってきた。