瑠璃『さあ!いよいよ剣術二刀流部門も3回戦に入りました!

3回戦最初の試合は!

ポールウェポン部門でも圧倒的な攻撃で瞬殺してきた
才華龍学院 鈴鐘 燐選手!

対するは!

こちらも圧倒的で可憐な技を繰り広げ勝ち上がってきた
千上魔法学園 千上院 京子選手!

どんな試合になるのでしょうか!』

実況の紹介と共に燐と京子がフィールドに現れる。
ほかの部門は終わりあと2部門だけとなったため観客が多く、賑やかであった。

夏希『それでは!試合開始です!』

実況の声と共に歓声があがる。
しかし、選手である2人は動かなかった。

「やっとここまで来ましたね。燐」
「そうだね。まさか闘えるなんて嬉しいよ。」

京子も燐も今までにない集中力であった。
京子はこの大会でも強いだろう。

その強さは蜘夜たち以上であり、恐らく燐やアーミャ以外でこの大会最強だ。

京子は剣術二刀流以外に近距離魔法にも出場し、南門 朱里を倒している。

(今までと違う...隙が無さすぎる。)

(やはり、魔力といい迫力が段違いだわ)

それぞれが相手を隙間なく見る。
そうしている時間は数分だろうが周囲は何があったのかと首を横にしていた。

瑠璃『どうしたのでしょうか?両者全く動きません。
それどころか、武器も出していませんね。』

実技の2人も同じだった。
ここで疑問に答えられるのは本人達だけだろう。

「ふふ。睨み合ってるばかりでは始まりませんわね。

順番に武器を出します?」

京子が急に隙を見せた。
本来ならば燐はそこを狙うがそうしなかった。

それが罠であるかもしれないからだ。

「そうしようか。ちゃんと召喚するまで出だしなしだよ?」

燐も油断するように緊張を少し解く。
京子はそれを確認して契約武器を召喚した。

「荒れ狂うものよ、
その力を我に示せ 時化

静かなるものよ、
その力を我に収め 凪

我が身に来たれシケナギ」

京子の詠唱と共に2本の剣が現れた。
片方が青色、片方が水色の剣だ。

神級契約武器のシケナギは、時化と凪の能力を持つ二刀流の小剣。

夏希『おおっと!京子選手なんと違う契約武器を出した!

しかも、シケナギです!』

瑠璃『シケナギとはどんな剣なんですか?』

興奮する夏希を抑えようとするが聞いたことがない名前に瑠璃は首を傾げる。

夏希『えーとですね、
海が荒れていることを時化(しけ)
海が穏やかで波がないことを凪(なぎ)

と、言うのですがこの剣はその能力を持っていますよ!

対極シリーズと言われていますよ!』

時化と凪は対にあたる言葉であるが、この剣も能力が対になっている。

珍しい剣である。

「さあ、あなたの番ですよ」

京子がシケナギを握り構えを取る。
燐は久しぶりにシケナギを見てやはりと感じた。

シケナギが出てくることは想像していたのだ。
ならばと燐も使う剣は決めていた。

「沈まぬ太陽よ、
この世に光を照らし続け 白夜

沈む太陽よ、
この世に闇を霞のように隠し続け 極夜

我が身に来たれ白極(はくぎょく)」

燐は片方が薄いオレンジ色、片方が灰色のこちらも小剣を召喚した。

これには、堺人も夏希も驚いていた。

「対極シリーズ...」

堺人がそう呟き、夏希がそれに答えるように実況が入った。

夏希『なんとこちらも対極シリーズの剣!
沈まない太陽の白夜(びゃくや)と沈んだままの太陽の極夜(きょくや)です!

こちらも、シケナギと同じく神級契約武器であり対極した剣です!』

瑠璃『驚きですね!』

夏希が興奮しながら説明をしていく。
それを半ば止めるように瑠璃が口を開いた。

燐が戦いたかった理由は、同じ対極シリーズを持った相手であり、それを使いこなせているからだ。

「さあ、対極同士の打ち合いですよ!」

京子がそう叫び、燐との距離を詰めた。