「相変わらず...痛いな」
もし、燐の相手をしていてさっきのような心臓を突き刺されることを考えると気分は悪くなる。
堺人は心臓がある左胸を抑えて苦笑いをした。
燐も同じく苦笑い。やりすぎたか と反省していたところだった。
「そうかもね。寸止めにしとけば良かったかな?
堺人みたいに...」
なぜ、突き刺したのか堺人には分からないが燐には何かしらあるのだろうと勝手に考えた。
「でも、燐にしては手こずってたね。」
堺人は燐の戦い方に驚いていた。
観察しながらもすぐ相手を詰めていくことが多い燐だが、それを先に相手にされた事に驚いたのだ。
燐は頷きながらもまた反省し始めた。
「あの人、私より速かったよ。
だから、驚いたしその動きに飲まれて焦った。」
燐のこんな感想を聞くことも初めてで堺人はそれだけ強かった相手なのだと思った。
「ほれ!次はポールウェポンだろ!
堺人の時みたいにギリギリは良くないからな行くぞ!」
圭は二度とあんな転移の仕方は嫌ならしくさっさと部屋を出てしまった。
堺人と燐は笑いを堪えながら はーい とあとを追ったのだった。
〜・〜・〜・〜
「お疲れ様。マリンさん」
一方、燐に負けたマリンがようやく目を覚ました。
まず目に入ったのは目の前にいる女子3人。
そのうちの1人、千上院 京子がマリンに話しかけた。
茶色のストレートロングに、黄色の瞳。
制服のリボンには生徒会を現す星のバッチを付けている。
「京子様...申し訳ありません。負けてしまいました...」
マリンは起き上がり悔しそうに俯いてしまった。
京子は咎めることはせず、マリンの背中に手を当てた。
「大丈夫よ......
悔しい思いは分かっていますもの。
あの子が強いことは百も承知づみです。」
京子は最後の言葉は呟くように言った。
京子の後ろにいた藍色の腰下まであるくせっ毛を2つにわけていおり、藍色の瞳をした、
月宮 弓美子はその呟きを聞いて厳しい目付きになる。
「京子様は知っていらっしゃるのですか?」
弓美子の後ろにいた、中継 澪 (なかつぎ みお)が京子に問いかけた。
「ええ、昔にね。
犯罪組織に殺されかけた時に助けてくださったのがあの子なのよ。
弓美子の対戦相手もそうよ。私たち2人の命の恩人。」
京子が遠い目で昔を思いながら目を細めた。
自分に力が無いせいで何人もの大切な人を無くし、悔しくて、悲しくてずっと泣いていた。
あの時、自分よりも年下で小学生の年齢にもかかわらず大人を圧倒的な力で倒した、
燐とアーミャに京子は尊敬してしまった。
(まさか、その2人がグリムズだなんて言えないけどね)
苦笑を漏らしながら京子は澪を見た。
燐のポールウェポンの最初の相手が澪だ。
千上魔法学園で最強の槍使いである澪だが、燐相手でどこまで持つか分からない。
京子はあれ以来、グリムズと関わることが多くなったのだが燐とアーミャがグリムズから抜けて以来実力を知らない。
マリンや弓美子との闘いを見て昔より強くなっていたのが目に見て分かる。
その分、京子も強くなった。
全国レベルのマリンと澪を従わせられるぐらいには強くなった。
その力を燐に見せつけてやりたい気分でもある。
京子と弓美子はマリンがいる部屋を出て会場に向かっていた。
「まさか、こんな大会に出ていらっしゃるなんて驚いたわ。
神乃宮に入学してしまった弓美子とようやく闘えるとワクワクしていた矢先に...」
京子はクスッと笑った。
弓美子は 全くです とため息をついた。
「ルグアスという苗字を聞いてまさかと思いましたが...
あの魔法を見ると流石に...」
弓美子もまたアーミャを尊敬している1人。
この世界での名前を知らなかった2人からすれば試合で相手を見れば、命の恩人であり尊敬する人だったなんて洒落にならない。
「ふふふ。何に対しても動じない弓美子があそこまで動揺するもの。
そっちの方が驚いたわ。ふふ」
京子は笑いを何とか抑えようと口に手を当てているが全く抑えられていなかった。
「そっそれは...だって動揺するに決まってるではないですか!」
弓美子が涙目になりながら反抗するが、京子は笑うだけであった。
「勝てる自信なんてほとんどありませんわ。
弓美子が同じ学校で、小隊としてなら勝てるかもしれませんけど...
それでも、再開できる喜びを力にしなければなりませんね。」
京子は笑みを消して目を細めた。
弓美子は そうですね と京子のあとを歩いた。
「まずは、澪さんとの対決をじっくりと観察しましょうか。」



