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蜘蔬たちが消えたところで朧は円を見た。
「さて、円、力を貸してください。」
「ええ。それにしても丁度良かったわね。
"標的"があの子たちの部隊にいて。」
円の言葉に はい と朧は頷いた。
「あっ!まど姉いた!」
丁度その時、グリムズの暗殺処理班の制服を着た扇と、朧と同じ制服を着た獄が現れた。
円の魔法でグリムズにいた2人を呼び寄せたのだ。
朧と円の任務は2つあった。
1つは、蜘蔬たちが本当にグリムズに行きたいかの監視。
これは、今回の情報削除をちゃんとするかの監視と戦闘能力の調査で済む。
これは、さっき円が使った 鑑賞の円 という特定の人物を監視するための魔法で蜘蔬たちの行動の姿が写し出されているため一緒にいなくてもいい。
もう1つは、朧の任務になるのだが標的を次元監獄に収容すること。
標的とは正に目の前に倒れているナンブルラ・テンの4人だった。
この4人は裏部隊にも知られていない犯罪を犯しまくる集団の一員なのだ。
この裏部隊にいるのは情報を盗むこと…
つまり、"スパイ"としての活動をするため。
「……ん」
丁度その時、ナンブルラ・テンの1人である男が目を覚ました。
起き上がろうとしたが出来なかった。
よく見ると緑色の輪っかが体を中心に回っていた。
「金縛りの円…貴方の体は動きませんよ。」
朧は男の目の前に膝をつくが男は倒れたままの体勢。
朧は男を上から見下ろす形になっている。
「…どういうことだ!」
男は大声で怒鳴った。
だが、朧はニコニコするだけでも何も言わない。
その代わりに獄が口を開いた。
「裏部隊ナンブルラ・テン班長
七暮子 凌 (ななくらし りょう)だよな。
そして、ブラックムーンという犯罪集団の一員の 保尾美 三矢 (ほなみ みつや)」
その名が出てきた瞬間三矢はビクッと肩が動いた。
どうやら、驚いているようだ。
「あなたがたを次元監獄にお送りします。」
「なっ…まさか国王直属の…」
三矢は朧が王国直属部隊だと思ったのだろう。
だが、違う。朧はグリムズの者だ。
「いいえ。私はグリムズの者です。」
朧がそういうと、三矢は一瞬にして恐怖の色を見せた。
「えっ…あのグリムズで次元監獄を支配してるっていう…」
三矢の言葉に朧は頷いた。
次元監獄はかつて獄がいた場所のことだ。
次元監獄は元々グリムズが所有し、管理している。
その次元監獄の職員をしているのがグリムズの朧が所属する班で、次元監視班という。
次元監視班は主に次元監獄の管理や無実の人を助けること。
ハルパーの中央区にある学校を卒業すると入ることができる組織の1つだ。
「次元監視班 管理長
コードネーム、西京華 0 朧」
男の言葉に朧は少し感心した。
自分の1文字を知っているだけならともかく所属や階級、コードネームまで当てられると驚く。
それだけ、この男は情報通なのだろう。
「名前を知っているのなら話は早いですね。
管理長として、あなた達を監視させていただきます。」
また朧はニコニコと微笑みながら言うため男は恐怖してしまった。



