男がグリムズの上層部に蜘蔬たちの報告をしたところ、

男が言ったように条件とグリムズの掟を守ることでグリムズに加わること許可した。

「その条件とは…?」

レイリは男に聞いた。
ここはあの時の時計塔ではなく黒森都市にある飲食店であった。

そして、その飲食店にいるのはレイリと男だけだった。

「まず、華龍都市周辺でグリムズ目撃情報の消滅です。

これは、グリムズに加わることを証明するのが目的でしょう。

あとグリムズの掟として、
1、グリムズに住むこと
2、グリムズ関係者以外の者との接触禁止
3、この先グリムズから抜けることは許可なしでは許されない。

でしょうか。
10歳以上にグリムズに来た人は学校を卒業後は自由の身になります。

レイリさん達はもう卒業と同じですからこの先何がしたいか考えてみるといいですね。」

男は参考にグリムズの資料を渡した。
勿論、他の人に見られてはいけないため蜘蔬、レイリ、水無月しか見れないように魔法がかかっている。

「最初の条件を満たせば間違いなくこちらに来られるでしょう。

あと、軍の制服、学校の制服は持ち込み禁止です。

ついでに言うと、軍に関するものは全てですね。」

それは、レイリも承知の上と考えていたため特に驚くこともなく頷いた。

「分かりました。
実行に移す時間ですが、明日の夜はどうでしょうか?

明日の見回りは私たちですし、他の見回りは私たちより実力は下ですので。」

レイリの提案に男は頷いた。
そして、実行時間と場所を決めたところで解散となった。

〜・〜・〜・〜

「と、このようになりました。
何か質問はありますか?」

レイリは男からもらった資料を片手に蜘蔬と水無月を見た。

2人は資料を見ながらレイリに問う。

「実行すんのはええんやけど…グリムズ情報の消滅ってどないするん?」

「…詳しく説明……」

グリムズからの条件や掟は了承したようだが、作戦がいまいち分からないようだ。

「そうですね…グリムズ目撃情報は確か1箇所にまとめられています。」

「情報管理室やな」

「はい。そこから盗めばいけますね。」

レイリは魔法で目の前に液晶画面を作る。
そこには蜘蔬たちがいる部隊の基地の見取図が映っていた。

「せやな…うちらが見回りするんは…ここ。」

蜘蔬が指さしたのは2階のフロア。
主に部隊員たちが休憩や報告書をまとめるための部屋があり、チームごとに各部屋が別れている。

蜘蔬、レイリ、水無月がいる部屋もチームの部屋だ。

「……管理室は4階…敵はざっと10人かな」

水無月は液晶画面に映る見取図に触れる。
すると、そこに赤い点が光る。

それぞれの階に赤い点が光るがこれは敵となる同士たちを示すものだ。

「それでしたら、3階は私がうけましょうか?」

「「「っ!!!!!!!」」」

突然の声に気が緩んでいた3人は画面を消し、声がした方と逆の方向に飛んだ。

「いの間に…」

水無月は見知った男がニコニコしていることに不信感を覚えた。

全く気が付かなかったのだ。

少なからず人の気配というものがある。
気配を消したとしても数十センチの距離で気づかないというのもおかしい。

魔法を使うものであれば尚更だ。
魔力さえ気づかなかった。

「まぁ、私が得意とする技ですね。
ですが、円の方が上手いでしょうが。」

男はクスクスと声を出して笑っていた。
それに関して蜘蔬たちは少し恥ずかしくなり顔を赤くした。