「お疲れ様…どうだった?全国のレベルは」

フィールドと控え室の間にある廊下で待っていた燐は堺人が帰ってくるなり聞いた。

「やっぱり強いよ。一瞬焦った、、」

苦笑いの堺人に燐は そうなのか と自分の戦いのためにも参考にしようと思った。

「次は弓術か…これは疲れるな」

今日は各部門の1回戦〜3回戦まで行う。
3回戦まで残ると当然休憩の時間が少なくなって行く。

「昼までに両方とも2回戦あるよね。
弓術が終わったら疲れが少し和らぐことしてあげる。」

燐は給水所からもらってきた水を堺人に渡す。

「それは是非お願いするよ」

堺人は水を1口飲み笑った。疲れが和らぐことと言っても肩のマッサージなどである。

「燐のマッサージってけっこうくるんだよね」

いつもツボをついてくるのだ。

「次はアーミャかな?」
「うん、多分そろそろ始まると思う」

燐は時計を確認する。
剣術一刀流と近距離魔法の会場は違い、堺人は次の試合のために観戦には行けない。

「向こうのモニターで観られるよ。」

燐はそういってある場所を指した。
魔法で作られた液晶画面が浮かんでいる場所があり、その周りには椅子があった。

液晶画面は大きく、堺人たちがいる場所からでもはっきりと見える。

夏希『 いや〜迫力のあった試合でしたねー!』

瑠璃『そうですね!特にあの魔法で追い込む時のやり方…私も真似してみようかな……』

〜・〜・〜・〜

瑠璃の後半は独り言のように聞こえたがそれは無視して夏希は次の試合に目を向けた。

夏希「続いては…おっと!本日2人目の中等部1年生からの出場!!

華龍都市代表
才華龍学院 中等部1年 アーミャ・ルグアス選手!」

瑠璃「対するはこちらも初出場です!

読都市代表 (よみ)
神乃宮魔法高校 2年 月宮 弓美子 選手!
(かんのみや) (つきみや ゆみこ) 」

夏希「しかしまたもや中等部1年生からですが…

戦術都市とも言われる魔法、戦闘能力が高い華龍都市の中で代表になるのは難しいです。

今年の華龍都市…いや才華龍学院の生徒は優秀ですね!」

夏希は司会をすることになった時に選手一覧表を見て素で驚いていた。

中等部1年生で出場は今回が初

どんな子なのだろうか…1度対戦してみたいと夏希はその時ワクワクが止まらなかった。

もちろん、全国代表戦には中学の部があるのだが一貫校になるとその学校によって出場出来たり出来なかったりする。

才華龍学院は見ての通り中学の部に出場できない。

レベル的に中学の部では相手にならないと判断されたのだが、これは事実であった。

建国100年祭で光国全学校から代表者1人と1小隊が参加し、都市ごとに合計点で争う大会があった。

この大会だけ高等部と中等部に分かれるよう指示があったため才華龍学院は高等部、中等部それぞれ分かれて参加した。

結果は圧倒的な点で華龍都市が優勝。
特に中等部は個人、小隊共に全ての部門で才華龍学院が優勝を飾っていた。

特に一貫校が多い華龍都市であるため大会はほとんど高等部の者と混ざって参加することが多い。

そのためか、得点の高い1位〜5位はほぼ華龍都市が収めたぐらいだ。

高等部にもなればレベルはさらに上がる。
そんな中で代表に燐たちはなったのだ。

夏希(伝説を作った才華龍学院…強者ぞろいで勝つのは至難の業だけど……

月島選手は中学生にしては動きが鋭かったし洞察力もあった。

…さぁ、この子はどうだろう)

夏希は期待を胸にアーミャを見た。