「今日から全国代表戦やでぇ!」

早朝から元気な蜘夜に呆れるレインと神無月はお決まりになってきた。

それに苦笑しかできない夕凪は机にお茶を置く。

今日の予定は、開会式と個人の予選がある。

5つのブロックに別れそれぞれ1位を決める
そして、各ブロック優勝者5人で決勝が行われる。

各ブロック68人でトーナメント式
1位のみが決勝進出

今日予選がある部門は
剣術一刀流、弓術、近距離魔法の3つだ。

レイン、堺人、アーミャが出場する。

「堺人はんは大変やなぁ、2つもあるでぇ」

蜘夜は紙のプログラムを見る。
昨日作られたもので個人の各部門全て書かれている。

それを見ると幸い連続となることはない。

「2つ以上出場するとなると体力が一気に奪われますね」

蜘夜に同意して言うレイン。
個人に出場はしない夕凪は全く興味が無さそうにお茶を飲む。

「夕凪は気にならないの?」

神無月は夕凪の隣に座り、お茶を飲む。
夕凪は 心外な と言いたげな顔をする。

「まさか、とても気になりますよ!
燐が気になる子は特に…もし2つの部門で上位になったら……

そのときは燐をあげてもいいかと思うのですよ」

そこで、神無月は えっ? とフリーズする。
夕凪は少し情熱的な声で言ったためか、蜘夜とレインにも聞こえたらしく2人とも同じくフリーズしていた。

「……ぷっあははは!夕凪はんからそないな言葉が出るとは思わへんわぁ」

蜘夜はお腹を抑えて爆笑、レインはいまだ分かっておらず頭に??が浮かんでいる。

「……親みたいだね」

神無月も少し笑ったような表情で言った。
夕凪は 何がおかしいのですか? と首をかしげる。

「そこまで言う必要があるのですか?」

ようやく理解したレインは問いかける。
その問いに夕凪は大きく頷いた。

「もちろんです!燐だけではないですがやっぱり幸せになったほしいですもん!」

夕凪はそういって胸を張った。
レインは そっそうですか と無理矢理納得した。

「……ええねぇ、燐はんと堺人はんの組み合わせ」

ヌフフと何を考えたのか蜘夜は笑いだした。
それを見て 始まった とため息をつくレインと神無月。

「はいはい、そこまでにして私は行きますよ」

レインが手を2回叩いて立ち上がる。
蜘夜は せやな と同じく立ち上がる。

「頑張ってくださいね!私は途中から会場に行きます」

夕凪は手を降って部屋の扉を閉じた。
この夕凪の行動はいつものことなので気にしない3人は会場に向けて歩き始めた。