「ちなみにうちの小隊は呪いに対して耐性がある種族出身だ。
もちろん、呪い保持者もいれて。」
充はニヤッと笑う。
この小隊のメンバーがハーメルン孤児達の中でも上位者なのだろう。
「私と美鈴はダーインスレイヴに話があって来た。」
美鳳は燐に視線を送った。
もちろん、燐は眠っている。
「だけど、燐は今眠っている。悪いけど会えないと思うよ?」
扇は警戒をさらにあげて言った。
しかし、美鳳は 大丈夫 と続けた。
「私達は希少な呪い……ダーインスレイヴは来てくれる」
何の根拠もないがはっきりと言った。
何かを知っている風でもなくただただそんな予感がしたにすぎない。
『……よくわかったわね。』
どうやら、美鳳の予感は当たっていた。
堺人の隣で眠っていた燐はいつの間にか起きていた。
しかし、瞳は左が紫色、右が赤色となっていた。
「……燐…なのか?」
堺人は燐の瞳を見て疑問を浮かべる。
燐はうっすらと笑った。
『半分正解で「半分不正解。」
私はダーインスレイヴであって「燐でもある」』
途中途中で声の高さが変わる。
女性の声であるが微妙に違うのだ。
『』がダーインスレイヴ、「」が燐の声である。
『言わば「燐とダーインスレイヴ」が融合したようなものよ。
「完全解放ではないから」こんな感じに混ざってしまうの』
ややこしいが燐とダーインスレイヴの声を知っている堺人たちはなんとかついていっている。
「それで『私に何のようかしら?』」
燐は無表情のまま美鳳と美鈴を見る。
言葉を発したのは美鳳であった。
「私達…いえ、ハーメルン本部の人たちに呪いをかけてほしいのです」
この言葉に堺人や扇は驚く。
燐(ダーインスレイヴ)は驚くことはなく、知っていたような表情だ。
「私は才華龍学院の図書館に侵入してダーインスレイヴ…あなたに関する書物を盗みました。」
ここで口を開いたのは、この小隊の隊長……
四葉 深夜 (よつば みよ)であった。
充と同じ黄色の瞳で
胸辺りまである茶髪をお下げにしている。
「もちろん、その本は上からの指示で盗みました。
けど、私達だって無能ではない…その本の内容は全て頭の中に記憶しています。
そこには呪いの者が願えばダーインスレイヴが助けてくれると…」
そう書かれていたようだ。



