「……なるほど。
僕たちが呪いについて知っているのはほんの少しってことか…」
堺人は考え込む。
呪いの系統は大きく分けて2つ。
魔法が使える(これを、プラスマジック)
か
使えない(これを、ノーマジック)かだ。
1、1つの呪いが使えるが他の呪いや魔法は使えない
2、呪いが2つ以上使えるが魔法が使えない
3、呪いが1つ使え、魔法も使える
4、呪いが2つ以上使え、魔法も使える
1から4になるにつれて希少性が高く、稀にしかみられない。
「私は消滅の呪いを使い魔法も使える、プラスマジックなんだよ」
フフフと微笑む美鈴。
美鳳は美鈴の頭を撫でながら言った。
「私は破壊、破裂、強化の呪いを使うノーマジック。
……納得がいかないようだね」
美鳳は堺人をみるやクスッと笑う。
堺人は頷くことしかできなかった。
「……それはもちろん。
納得はしたけど…やっぱり信じられない」
「世界ハ広イモノダヨ」
と少女は片言な言葉でいった。
彼女の名は アグリ・スカーレット
やや黄味の赤色の瞳と髪で、両端の髪が跳ねている。
まるで耳が垂れている猫のようだ。
「世界……ね」
扇は苦笑した。
世界は広い。
自分が知っているものをはるかに凌駕したことがあったりなかったりする。
堺人の知識は国を通り越して世界でも通じるだけはあるし、常識なことばかりだ。
「世界と言うよりは、世界の裏が広いといえるんじゃない?」
扇はそういった。
世界の表では、呪いは1つ などが常識となっている。
絶対に変わらない、変わってはならないことだ。
だが、本当のことを隠し続けているのはその常識から外れた者たちだ。
もし、ばれてしまうと何をされるかわかったものじゃない。
人間というものは常識から外れた者は恐怖、悪の対象とする。
ましてや呪いとまで言われているのだから尚更だ。
扇がいいたいのは、その常識(表)よりも常識外(裏)の方がたくさんあると言うことだ。
「まぁ、その裏を知るのはグリムズや実際にそれを所有している人ぐらいだよ。」
獄も扇と同じく苦笑する。
違いない と美鳳たちも納得顔だった。
「話がそれたけど、
私達……常識から外れた呪い保持者は祖であるダーインスレイヴの元へ行く。
だから、私達は今ここにいるようなもの。
そこの人もね」
美鳳は獄をチラッと見る。
獄は正直に頷き同意する。
「そして、呪いをまともに受けて確実に生きていられるのは耐性をもつ種族のみ。」
この場合呪い保持者は入らないとして主に、
毒をあやつる、カーシャ国のカーシャ人
アルテーナ諸国のユベラ島に住むユベラ人
幻術が得意なルグアス一族と貴族
そして、旧影国の鈴鐘家の血を引くもの
この4つの種族は呪い保持者以外で呪いの耐性がとくに高い。
つまり、ダーインスレイヴの呪いをまとった膜から助かるためにはこの4つの種族であれば確実に助かる。
「なるほど……だけど僕は痕が残ってる。」
「それは、あなたのカーシャ国の血が半分しか受け継がれていないからだよ」
「当たり前だが、耐性ある種族の血が濃いければ濃いほど耐性は高くなる。」
美鈴に続いて少年が答えた。
名を 七星 充 (ななほし みつる)
夜に映える黄色の瞳で、髪は銀色。
頭のトップは狼のたてがみのようにたっている。
この小隊の副隊長だ。



