「燐ー、しっかり」

堺人は燐を背負って部屋に向かう。
パーティー会場から泊まる部屋までの道のりは結構ある。

燐を落とさないように歩いていくと、目の前に誰かが現れた。

「……!君たちは…」

堺人は1歩後ろに下がり、警戒する。

それは当たり前のことで向こう側もそれを承知で立っている。

「お久しぶり…といえるのかは分からないけれども……

月島 堺人……よね?」

名前を言われさらに警戒する。

今目の前にいる6人、その先頭にいる女性と横にいる少女は知っている顔だ。

「美鳳…だったか」

堺人はうろ覚えの名前を口にする。
どうやら当たっていたらしく美鳳は頷く。

「ええ。私は美鳳……

背中にいるのは鈴鐘 燐 でしょ?」

メイフォンが指差す先は眠っている燐だった。

「そうだが、君たちに渡すつもりはないよ」

堺人はさらに警戒を強める。

「渡したら厄介なことになるしね」

突然後ろから声が聞こえた。
堺人は振り替えると扇と獄がいた。

「……っ!」

そこで、美鳳たちの1人が苦い顔をした。

扇はずっとその1人を見ていたのだ。

「顔はわからなかったけど雰囲気でわかったよ。

四葉さん?」

扇は獰猛な笑みをこぼす。

扇が学院に転校してすぐのことだ。
学院の図書館に侵入したハーメルンの女性がいた。

扇に見つかったものの書物を見事に盗んだ女性が目の前にいる。

「……ここではあれですから、場所を変えましょうか」

「それがいいな。」

扇と四葉との関係で互いの正体を公になってはならないため、同意する獄。

美鳳を先頭に動くハーメルンの6人と堺人、扇、獄そして眠っている燐は移動した。