パーティーが始まってから少ししたころ。
「燐…?どうした?」
様子のおかしい燐に気づいて堺人は声をかける。
だが、燐は振り向かなかった。
「おーい!燐さーん?」
堺人は燐の肩に手をおいてこちらに振り向かせる。
「へ?」
驚いたようで燐は間抜けな声が出た。
振り向いた燐の顔は少し火照っておりボーとしている。
「……燐?」
「……ふぁい」
はい と言おうとしたようだが、かんでしまった。
いつもの燐なら、恥ずかしくなり口を塞ぐのだが今日は気にしていない…
と、いうより気づいていない。
様子がおかしいことは確実だ。
そこで、燐が持っていたグラスを見た。
「まさかっ!」
堺人は燐がもっているグラスに入っている無色の液体の臭いをかいだ。
かすかにアルコールの臭いがする。
「あぁ、やっぱり……」
「どしたの?」
そこにアーミャが来た。
堺人は燐の様子とグラスに入っている液体のことを伝えた。
「えっ!お酒飲んじゃったの?」
「そうみたいなんだ。多分水と間違えたんだと思う。」
このパーティーには生徒だけでなく、教師のほかに、騎士団、部隊の隊長やスカウトの面々がいる。
そのため、お酒もおかれているようだ。
もちろん、未成年の燐たちは飲めない。
「どっから取ってきたんだ」
堺人はため息をつく。
それにはアーミャも同感でうなずく。
「燐は少しのお酒でも酔うからなぁ
寝ないと戻らないんだよねぇー」
アーミャは困ったように頭をかく。
「……仕方ないか…部屋につれていくよ。
あと、僕も今日はもう寝るよ。」
燐と堺人の就寝時間はとっくにすぎていて、少し眠たい。
メンバーの中で寝るのも起きるのも早い2人なのだ。
それはもちろん、アーミャたちは知っている。
このパーティーも強制ではないため、さっさと部屋にもどっていった人もいる。
「分かった!あとはよろしくね」
アーミャはうなずいて、少し申し訳なさそうな表情をした。



