華龍都市は国の南東に位置し、海に接している。

彩光都市は国の北西よりの中央あたりにある。

距離的には光国のなかでは遠い距離に分類する。
旧影国よりは近いには近いが、、

学院を出発して、もうすぐ正午になる。

「あと、どれぐらいでつくの?」

扇は外の景色に飽きたのか獄の隣で眠たそうにしていた。

「あと3時間ぐらいです」

さりげなく堺人の隣にいた燐が答えた。
扇は 長い とあくびをする。

「扇さん、眠たそうですね」

夕凪は優雅にお茶をすする。
メンバーの中で一番落ち着いている夕凪は爽やかな笑顔を見せる。

「ん~、昨日あまり寝れなくて~ふあぁ」

また、あくびを1つして獄の肩に頭を預けて眠ってしまった。

「まったく、危機感ないな。ほんと」

獄が呆れた顔をするが扇を起こすことはしなかった。

『あっ、そうでした。獄先輩に聞きたいことがあるのですが。』

獄に夕凪の声が聞こえた。
だが、夕凪に視線を向けてみるとお茶を飲んでいた。

つまり、これは頭から聞こえる声だ。

『テレパシーを使うとは珍しいな。どうした?』

獄も夕凪から視線を外して堺人たちと話をしていた。

よく2つのことができるものだ と感心したいところだ。

『大分前になりますが、ダーインスレイヴを止めるとき残ったのは蝶だけでした。

普通なら私や先輩も残りますが、アーミャ達がいたので参加しませんでした。

それで、私や先輩では敵わないとはいいましたが……』

夕凪は少しずつ間をあけて話した。

『扇先輩の様子もおかしかったように思うのです。』

流石といっていいか夕凪は気づいていたらしい。

情報伝達班は相手に情報を伝えるだけでなく、情報収集班が持ってきた情報が正しいのか調べるのも仕事の範囲内。

時には情報収集班や暗殺処理班に指示を出すことまある。

それでとは言わないが、夕凪は小隊のメンバーをよく見ている。

位置情報から個人の戦闘力、体調まで見るぐらいだ。

獄は納得するようにそれに答える。

『ああ、凪はよくみているな。
実は扇の魔力量が下がっている可能性がでてきた。』

それを聞いた夕凪はお茶を喉につまらせて咳き込む。

「大丈夫ですか?」

近くにいたレインが背中をさすってくれた。
夕凪はそれに 大丈夫です と言いいつものようにしていた。

だが、心のなかでは驚きと納得の表情。

『魔力量が……ですか。
それならば、殺は気づくのではないでは。』

『本来なら恐らく、気づいているだろうな。
だが、その時の殺はダーインスレイヴと入れ替わっていたから。』

それに夕凪は納得し、分かりました と言ってテレパシーを切った。

夕凪はこの問題については扇と獄に任せるようだ。

夕凪はいつものように静かに過ごしすだけ。