マネージャーとしての腕は、2年のマネージャーより全然いいんだ。
だけど。
「大地ー。まだここに居たのか」
準備を終えた平松が、部室から出てきた。それに気がついた琴美は失礼しますね、と言ってそのままグラウンドのほうに行ってしまった。
「お前よー」
平松が俺の隣に並んだと同時に、歩き出す。二つの長い影が、ゆらゆらと揺れ動く。
「んだよ」
「アイツとは距離置けって言ったろ?アイツは間違いなくお前が好きなんだから」
「何を根拠に」
「お前、いつから鈍くなったんだよ。前まで自分に好意のある女なら、薄らと気づいて自分から一線引いてたのに」



