放課後4時10分、校舎5階で君を待つ。

まだ高校2年生。


受験も卒業もまだまだ先のこと。これから先、修学旅行や球技大会だってまだ残ってる。


今年終わってしまった行事はまだ来年、1回経験できるんだから、今悩んだってしょうがない。


「あれ?」



そう莉奈に言い聞かせるようにして、実は自分に言い聞かせていたのかもしれない。



「どうした、美空」

「ポケットに入れといたはずの、借り物競走の時の紙がないの」


反対側のポケットに手を入れてみても、それは見当たらなくて。


「ま、いっか」



紙切れいちまいが、すれ違いを生じていたなんて知る由もない。