[完]その口、利けなくしてやるよ。



俺が小学6年になった頃。事は起こった。


夜中だった。


「ガッシャーン!」


「何したのかわかってんのか!?お前はっ!」



俺も光都も、さすがに飛び起きた。


確か…ガラスの割れる音だったかな。


「兄ちゃんっ…どうしたんだろう」


「光都……大丈夫だ。大丈夫。兄ちゃんがいるからな」



子供ながら、その異変に気がついたんだと思う。


光都の震える手を握って、静かに階段を降りた。



リビングのドアの隙間は少し空いてて、その隙間から中を覗いた。


そこで、俺は言葉を失った。そして、一つ。“光都にはこんなの見せたらいけない”その思い出いっぱいだった。


「光都?上に戻って、布団をかぶってろ」


俺は静かに光都にそう言った。


「何で?兄ちゃんは?」


「早く」


この時、光都が言うことを聞いてくれていたら、俺たちの人生はもう少しいい方に向いていたのかもしれないも、今も思う。


いや、俺も戻ってたらよかったんだ。