[完]その口、利けなくしてやるよ。



俺が毎日耳を塞ぐようになってから、半年が経った頃。



「…ん……にい、ちゃん…?」


光都が起きて、俺のことを見つめていた。


「こ、うとっ……?」


「どうしたの?」


「ううん、どうもしないよ?」


多分、光都は気づいてたんだ。俺が微かに震えていたことに。


けど、それでもあれだけは聞かせたらいけない。そう思った。


「こうと、ねよう……」


「うん」



この頃の俺たちは純粋で素直で、暴走族とかそんなもの夢のまた夢の話だと……思っていた。