[完]その口、利けなくしてやるよ。



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あれは、俺がまだ小学3年で、光都は小学1年の頃だった。


「もう…やめてっ……!」


「だから!お前が悪いんだろ?!」


毎晩俺たちが眠ったころになると、ふたりは喧嘩を始めてた。


光都には聞こえないように、何とか頑張った。


俺は、ずっとずっと毎晩毎晩、聞こえてくる声から遮断するように耳を塞いでた。




“夜さえ我慢すればいい”


だって、朝になればまた“仲のいい家族”だったから。


近所の人にも羨ましがられるくらい、家族の中も良くて。夫婦仲も良くて。


皆の憧れの的になるような存在だったんだ。篠須家は。



そんな家が崩れていることに気づいてたのは、両親を除いて、俺だけだった___