「………」
 

真紅から応答はしない。
 

じーっと睨んでいると、青年はふっと口の端をゆるめて立ち上がり真紅に歩み寄った。


真紅はびくりと身体を震わせたが、咄嗟に動けなかった。ま


だ目の前がぐらぐらする……。


「元気なのはいいけど、無理はするなよ」
 

青年が差し出した腕に、真紅は倒れこんだ。……限界か。


「すぐに戻してやるから。……少し待ってろよ」
 

斬りつけられた傷は治した。


それからさっきみたいに自分の血を送る。


一度真紅の血を自身に取り込んでいるから、馴染むまでは時間がかかるだろうが拒絶反応などの問題はなかったようだ。
 

少しだけ待っていろ。


遠のく真紅の意識に、言葉がかけられた。


「生きろよ」
 

首筋に、牙を当てた。