「桜城くん? 別に来なくてもいいけど」


「だからすきだよ、海雨(みう)」
 

放課後、真紅は病院にいた。
 

入院している幼馴染に逢うためだ。
 

梨見海雨(なしみ みう)。
 

真紅の幼稚園からの友達だ。
 

海雨は今、ドナーを待つ身。


元々身体が弱く、高校に入学しても入退院を繰り返していた。


薬治療をしているが、根本解決するなら器官を取り換えるしかない。
 

――真紅はその、適合者だった。