「でも、さっき――私の血だけって……」


「言ったけど、正直俺はあんま血ぃいらないんだよ。半分だけだからかな」


「でも、まずい血を飲まされてたって」


「俺を支配下に置くために、な。血を与える、それは俺にとって主みたいなモンになるから、そいつがそういう存在である限り、俺はそいつらに反旗を翻せない。そういう意味」


「……もう、逢えないの……?」
 

淋しいよ。


「……それは、今だけしか思わない。暁になれば消える。だからな、真紅。……少しだけ、楽しかったよ」


「れ
「最期のときに、また逢おう」
 

今度こそ。
 

真紅の目の前は真っ暗になった。
 

黎の声も、聞こえない。






「俺はお前に憧れたよ。綺麗な子」