「……えっと」
「言っとくけど、義務とか責任感じるなよ? 俺がお前を助けたのは俺の勝手だし。
後悔しちゃいないけど、代わりに俺の言うこと聞こうとかいうのは筋違い。真紅の意思で、俺が近くにいるのを許してくれるんだったら、な」
「私の血でいいの?」
「ん? そこ?」
「いや、さっきマズい血って言ってたから。たぶん私の血はマズいと思うよ? 性格悪いし根性ねじ曲がってるし優しくないし」
「……それがお前の自己評価?」
「だよ」
黎は頤から手を離し、頭をぽんぽんとした。
「はずれだな、それは。真紅はいいにおいがしてうまいよ」
血の味の評価なんてされる人生、あるんだろうか。



