好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「……えっと」


「言っとくけど、義務とか責任感じるなよ? 俺がお前を助けたのは俺の勝手だし。

後悔しちゃいないけど、代わりに俺の言うこと聞こうとかいうのは筋違い。真紅の意思で、俺が近くにいるのを許してくれるんだったら、な」


「私の血でいいの?」


「ん? そこ?」


「いや、さっきマズい血って言ってたから。たぶん私の血はマズいと思うよ? 性格悪いし根性ねじ曲がってるし優しくないし」


「……それがお前の自己評価?」


「だよ」
 

黎は頤から手を離し、頭をぽんぽんとした。


「はずれだな、それは。真紅はいいにおいがしてうまいよ」
 

血の味の評価なんてされる人生、あるんだろうか。