「黎……紅緒様には逢いにくくない? 大丈夫?」


「んー、また怒られる心配はあるけど、でも、真紅に逢いたかったし」


「黎……」
 

二人の空気を作っていると、黎の隣にいた架が居心地悪そうに咳払いした。


が、それを気にする兄ではなかった。


一方の真紅ははっとして、慌てて視線を逸らした。


早口で照れ隠しをする。


「あ、ありがとう。一緒に来てくれれば、新しい家の場所もわかるよね」
 

黎は真紅の照れように苦笑して、その手を取ってそっと囁いた。


「うん。――何度でも、逢いに行くから。……真紅も諦めないでくれ」








END