「近くに公園あったから、そこに行こうか。道端で話してるのも難だし」
「うん」
嬉しい。
どうしてか、黎の一挙手一投足が嬉しい。
真紅は肯いてその手を取った。自分はどんな顔をしているのだろうか。彼にはどう見えているのだろうか。
笑っているの、かな?
「さっき起きる前にあったこと、ちゃんと憶えてるか?」
隣を歩く黎明の吸血鬼。背が高いなあ……。
真紅は平均身長なので、その顔を見ようとすれば大分見上げる形になる。
「……私、あなたに助けられた、んだよね……?」
「俺の名前わかるか?」
「……黎。黎明の、れい」
憶えていた。知り合いにはいない名前。
眠る前に聞いた名前。この人のものだった。



