好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「近くに公園あったから、そこに行こうか。道端で話してるのも難だし」


「うん」
 

嬉しい。
 

どうしてか、黎の一挙手一投足が嬉しい。


真紅は肯いてその手を取った。自分はどんな顔をしているのだろうか。彼にはどう見えているのだろうか。
 

笑っているの、かな?


「さっき起きる前にあったこと、ちゃんと憶えてるか?」
 

隣を歩く黎明の吸血鬼。背が高いなあ……。


真紅は平均身長なので、その顔を見ようとすれば大分見上げる形になる。


「……私、あなたに助けられた、んだよね……?」


「俺の名前わかるか?」


「……黎。黎明の、れい」
 

憶えていた。知り合いにはいない名前。


眠る前に聞いた名前。この人のものだった。