「えっ、でも……」 「だったら、真紅がおいで?」 黎明の吸血鬼は顔を背けたまま、瞳だけで真紅を見てきた。 「寒いから、ちゃんとあったかくして。俺のこと知りたいんだったら真紅が外に出ておいで。……危ない目には遭わせないから」 鍵を壊した。 自分を閉じ込めていた部屋の、鍵。 真紅が初めて見た外の世界は夜。銀色の輝きを背負って、優雅に立つ青年の場所。 そこに行きたいと、思った。 そこに、いきたいと。 そこで、生きたいと。