好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「私がお願いしたの。白ちゃんのとこに連れて行ってって」


「はくちゃん? ……まさか月御門のガキのことか?」


「そうだよ。るうちゃんは、黒藤さんが私のとこに置いてくれてるの」


「………」
 

はくちゃんにくろとさん。
 

…………。


「なんでお前はそうガシガシ踏み込んでくる。こっちの話は危ないことばかりだぞ」


「私の問題だからだよ。……黎がどこまで知ってるかは知らないけど私は――わっ⁉」
 

真っ直ぐに睨んでくる真紅の瞳を見たくなくて、思い切り抱き寄せた。


間で潰された紫色の小鳥が『のーっ!』と悲鳴をあげたが、無視。
 

黎の突然の行動に驚いたのか、真紅は怒る余裕もないように泡喰った。