好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



母は父のことを、愛称で『マコ』と呼んでいる。


その呼び方を聞いてドキッとした。今の今まで失念していたが、真紅と同じだった。
 

真紅……。


(俺には、その子だけ)


「……恋い得る(こいうる)人がいます。その子の傍にいてやりたいんです」
 

自分と真紅は、多分出逢ってはいけない者同士だったのかもしれない。


でも出逢ってしまったし、触れてしまった。
 

逢いたいと、思ってしまった。
 

今も、逢いに行きたい。


「そのために桜城であることは邪魔である、と?」


「……はい」