好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「私のことも父さんとか」


「わたしのことは弥生お母さんって呼んでね?」


「……誠さんはともかく、弥生さんは色々違うでしょう……」
 

この三人、複雑な関係ながらものすごく仲がいい。


基本的にテンションがあまり高くない黎にはついていけない。


……架の父は、この三人の抑え役だった。
 

弟もため息をついている。


「兄貴が戻ってくれたらこのノリ、半分くらい引き受けてほしいんだけど……」
 

はー……と疲れている弟。すまん。苦労させているな。


だが、戻る気はないし、戻ることもないだろう。


「美愛、弥生、今は黎の話を聞こうか?」
 

黎と架の兄弟を囲んでわちゃわちゃしている母たちに、誠が言った。