「………」 「そんときに真紅ちゃんの血ももらった」 「……否定はしない」 「……大丈夫なの?」 「真紅は生きてるだろ」 「兄貴の方だよ。……若君も御門の主も断言はしなかったけど、……」 途中まで言いかけて、架は口を噤(つぐ)んだ。 それ以上は、知っていても言ってはいけないことのように。 「架。一度家に戻る」 「……ん?」 「桜城の家に戻る。誠さんには連絡してある」