「……俺が行っても迷惑なだけだろ。お前は真紅を送って戻って来たのか? 忙しい奴だな」 「俺のはすきでやってるからいいんだよ」 真紅が架とともに海雨を訪れたことは知っている。でも、逢いにいけなかった。 「真紅ちゃん、若君と、御門の主(あるじ)とも逢ったよ」 「―――――」 月御門白桜にも? 真紅が影小路ゆかりの娘と聞いたときから、黒藤の存在は考えていた。 だが、同じ稼業とはいえ違う流派の白桜まで出てくるのか? 黎が考え込んでしまうと、架が言った。