好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



影小路の目的はわからないが、真紅に接触する気があるのは確かだ。


もう接触しているかもしれない。
 

そして、真紅にはどんな力があるというのだ――。


(………)
 

腕(かいな)に抱いたとき、重さを感じなかった。
 

血と共に生気まで流れ出ていったかと思ったほどだ。


でも、その指先が動いて――
 

逢いたい。一度逢ってしまえば、引き返すことなんて出来ない。


わかっていながら、摑みかかって来た真紅の手を摑んだ。
 

……退き返す気なんか、もうないのかもしれない。