自分では、真紅を殺してしまうんじゃないかと不安になった。 ――ほしいと思ってしまったから。血の一滴、髪の一筋ですら。 ……だから、真紅にはもう、逢わないように。生きていてほしいから、離れた。 最期の時だけ、と心を封じて。 自分は他人を、大事に愛する方法を知らない。 父のように、母だけを恋人にして、けれど恋人を亡くした許嫁も護るなんて、黎には考えられもしない。 真紅しかいらないと、正直に心は話す。 父のように器用には、出来そうもない。 「……まさか架に教えられるとはな……」