好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】




「白桜様。真紅お嬢様がいらっしゃいました」


「ああ、ありがとう。天音、お前は百合姫の方へ」


「御意(ぎょい)にございますわ」
 

天音が案内したのは、池のある庭に面した部屋だった。


とりあえず、やっぱり広かった。


縁側から入っていいのかと迷っていると、着流し姿の白桜が縁に腰をおろした。


「家の中へ通せなくてすまない。家の者には真紅のことは言ってないものでな」


「いえ――私こそこんな時間に、ごめんなさい……」
 

小さくなる真紅に、白桜はふっと笑みを見せた。


「構わない。真紅は大事な依頼人だ。それで――涙雨がここへ連れてくるとは、どうした?」


『真紅嬢は迷っておいでなのだ』

 
肩口の涙雨が、真紅より先に口を開いた。