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「白桜様。真紅お嬢様がいらっしゃいました」
「ああ、ありがとう。天音、お前は百合姫の方へ」
「御意(ぎょい)にございますわ」
天音が案内したのは、池のある庭に面した部屋だった。
とりあえず、やっぱり広かった。
縁側から入っていいのかと迷っていると、着流し姿の白桜が縁に腰をおろした。
「家の中へ通せなくてすまない。家の者には真紅のことは言ってないものでな」
「いえ――私こそこんな時間に、ごめんなさい……」
小さくなる真紅に、白桜はふっと笑みを見せた。
「構わない。真紅は大事な依頼人だ。それで――涙雨がここへ連れてくるとは、どうした?」
『真紅嬢は迷っておいでなのだ』
肩口の涙雨が、真紅より先に口を開いた。



