「……だれ?」 「白桜が式の二基(にき)だ」 いきなり聞こえた男性の声に、真紅は思いっきり肩を跳ねさせた。 「⁉」 誰っ? まさかつけられて―― 振り返った真紅の視線の先に、急に青年が現れた。 今まで誰もいなかった場所に、突如現れたのだ。 真紅は大きく目を見開く。青年は軽く手をあげた。 「よう。お初にお目にかかる。……そう怯えないでくれ、真紅嬢。白桜が式で、無炎という」 「――黒藤さん、じゃないの?」