好きになった人は吸血鬼でした。ーさくらの血契1ー【完】



「……だれ?」


「白桜が式の二基(にき)だ」
 

いきなり聞こえた男性の声に、真紅は思いっきり肩を跳ねさせた。


「⁉」
 

誰っ? まさかつけられて――
 

振り返った真紅の視線の先に、急に青年が現れた。


今まで誰もいなかった場所に、突如現れたのだ。


真紅は大きく目を見開く。青年は軽く手をあげた。


「よう。お初にお目にかかる。……そう怯えないでくれ、真紅嬢。白桜が式で、無炎という」


「――黒藤さん、じゃないの?」